■ 西瓜 ■ | ||
真夏の日中、ケロロはスイカにかぶりつく。 子供みたいな顔をして。 たかが食いものくらいで、そんなに幸せそうな顔が出来るのか、と不思議に思う。 だが、今日はそこで終わらなかった。 真夏の、ギラギラした太陽が、目眩に似た感覚を呼び覚ます午後。 ギロロは、ケロロから目が離せなくなっていた。 真っ赤な果汁をしたたらせ舌なめずりする顔は、ただの子供じゃない。 色気…そう呼んでいいのかわからない。子供だか、大人だか、アンバランスな危うい表情で。 |
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「赤色って、甘いよね、ギロロ」 意味深な台詞を吐く。上目使いの、幼馴染みは確信犯か。 慌てて目を逸らしても瞼の裏に焼き付いた、ケロロの口元の赤色と、緑のコントラストが情欲を焦がしていく。 「赤くて、甘い…であります」 コイツめ、やはりわざとか。 ギロロはゾクリと背中がざわめくのを感じていた。 ケロロが手首を握っている。そして赤色は甘い、と呟いて、ギロロの腕に舌を這わす。 甘い、甘い。甘くて、そして。 「何をやっとるんだ…」 「ん?ギロロも赤いから甘いかな〜ってさ…」 腕を掴んだまま見つめるケロロの目に、追い詰められる。 誘いに乗ってはいけない。 心の奥底で理性がそう叫ぶのを聞いた。 けれど、その鮮やかな赤と緑が入り混じった光景が、その誘惑を突き放す機会を奪い去る。 己の腕に絡んだ緑の指を外し、力任せに握り込めば、濡れた口元が笑みを縁取る。 真夏の太陽が、狂わせる何か。 赤色と緑色がひとつに混じり合うように、風景の全てが蜃気楼のように揺らめいて。 食べかけの西瓜からしたたる甘い汁が、真夏の午後を濡らしていた。 |
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文章:凪様 / 絵:もげ |
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--------------------------------------------------------- 120021カウント代理凪様よりリクエスト「西瓜」 今回も素敵文章付でリクエストしてくださいました。 いやー、いつもすみません。リクエストというよりは強奪で。 「一部抜粋してよいですか?」とお伺いを立てたら、「お好きに」とのことだったので、全部載せちゃった。えへ。 NGだったら言ってください。すぐに取り下げまする。 滴らせすぎだろ、ケロロ!と思いながら、汁塗りました。 (初めて「汁」という名前のレイヤー作った(笑)) まぁ、ワザとなんですけどね。 このくらい露骨に誘惑しないと、ギロロ気づかなそうだし。 ポイントは、ケロロが西瓜を食べ終わっても、ギロロは全然(一口しか)進んでないって所かなー。 ずーっとボーっと見てたんだろう。妄想しながら。エロダルマですから。 凪様、リクエスト(という名の素敵文章)ありがとうございました。 このイラストは凪様に限りお持ち帰り可です。 |
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