■ 安もんだけど ■



「ん」

気象制御装置がぶっ壊れたある日の放課後。帰宅途中。
ケロロの少し前を歩いていたギロロが突然立ち止まり、小さな箱を差し出した。

「?なに??」

「お前、よこせってうるさく騒いだろ」

今日は(ペコポンでいうところの)クリスマス。
それは、ギロロからケロロへのプレゼントだった。

「でも、『なんで俺が!』って言ってたのに…」
「いらないなら、いい」
「いる!いるよ!」

箱を持った手を引っ込めそうになって、ケロロはあわててそれを受け取った。
ギロロがラッピングしたのだろうか。小さなリボンは立て結びになっているし、よく見ると、包装紙もなんとなくくたびれている。
悪戦苦闘したのであろう様子を想像して、ケロロの胸はポッと灯りがともったように暖かくなった。

「…へへ、ありがとv」
「や、安もんだけどなっ」

照れてそっぽを向いたまま歩き出したギロロに、ケロロが駆け寄る。
ケロロが腕を絡ませると、ギロロはビックリして一瞬体を強張らせた。

「おい!」

――が、その腕を振り払うことは、なかった。



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2008年クリスマス企画・満月様よりリクエスト「ケロロの為に悩んでプレゼントを選んで渡すギロロ」
何故か小話付。

ギロロはラッピングはもちろんのこと、中身の選択もすごく悩んだと思われます。
悩んで悩んで悩んで…結局何を選んだかは不明ですが(爆)、このサイズからして貴金属ではないでしょうか。
あら、やるわね。お兄様からアドヴァイスでも貰ったのかしら。

実はケロロのバッグの中にもギロロへのプレゼントが入ってたらいいな。
やっぱり手編みのマフラーかしら。いいないいな。青春だな。

満月様、もげサンタにお手紙ありがとうございました。
この絵は満月様に限りお持ち帰りOKです。